アンコールワットを囲むのは、池?湖?

アンコールワットの環濠のほとりにしゃがむガイドのアニキ。奥に広い水面とヤシの木 シェムリアップ情報

アンコールワットを囲むのは、池?それとも湖?

写真の中のアニキ、いい顔をしている。ナーガの像に寄りかかって、水面を見つめる横顔。まるでこの景色と長年の付き合いがあるような、そんな佇まい。

実際、その通り。アニキはこの景色が大好きだ。何度案内しても、ここに来ると一瞬だけ足を止める。ガイドの顔から、一人の男の顔に戻る瞬間。

「池」でも「湖」でもない。これは「濠」だ。

多くの旅行者が、この水辺を見てこう思う。「大きい池だなあ」「湖みたいですね」。無理もない。空を映し込むほど広く、風がなければ鏡のように静まり返っている。

だが、事実は少し違う。これは自然が作った池でも湖でもない。人の手によって掘られた、巨大な「濠(ほり)」だ。

一辺およそ1.5キロメートル。幅はおよそ190メートル。外周をぐるりと一周すれば、その距離はおよそ5.5キロメートルにも及ぶ。もはや水路というスケールを軽やかに置き去りにする、驚異の土木遺産である。

ただの「お堀」じゃない。寺院を守る、静かな装置。

城のお堀といえば、敵の侵入を防ぐためのもの。もちろんアンコールワットの濠にも、その役割はあった。

しかしそれだけではない。この濠、実は寺院そのものを何百年も支え続けてきた「縁の下の力持ち」でもある。

地盤を安定させる役割。雨季に降り注ぐ膨大な雨水を受け止め、貯水し、水圧を調整する役割。派手さはないが、これがなければアンコールワットは、とうの昔にバランスを崩していたかもしれない。

『敵からも、自然からも。この水は、寺院を守り続けてきた。』

朝、この場所に立つということ

写真に写る空は、まだ柔らかい朝の色。人工物とは思えないほど穏やかな水面に、ヤシの木と石造りのナーガが、静かに影を落としている。

1.5キロ四方、幅190メートルの水を、当時の人々は人力で掘り上げた。今、その恩恵の上で、旅行者たちがシャッターを切っている。アニキも、その一人だ。ただし写す側ではなく、写される側で。

知れば、景色の見え方が変わる

「池ですか?」「湖ですか?」とガイドに聞いてしまうその瞬間こそ、実はこの記事の出番。ただの水辺だと思っていた景色が、防御施設であり、地盤の守り神であり、雨季の貯水タンクでもあったと知った瞬間、目の前の風景の解像度が一段上がる。

アンコールワットは、寺院単体で立っているのではない。この濠があってこそ、今日まで立ち続けてきた。

知れば知るほど、シェムリアップは深くなる。アニキ、まだまだ語り足りない。

この景色、実際に見てみたいと思った方は、LINEやInstagramからお気軽にどうぞ。アニキが現地でお待ちしています。

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